"横浜ドリーム2020" 鷲野鋭久先生クリニック・レポート
2020年12月29日、本郷小学校29日の年末イベントでは、愛知県弥富北中の鷲野先生が小学生の部と中学生の部に分けてクリニックを実施してくださいました。
「つなぐ」「構え」「観る」といった鷲野先生のコンセプトの大切さは言うまでもないですが、今回は「試合で使えるスキルとドリルを厳選すること」を強調されていたのが印象的でした。スキルコーチングが流行する中で、チーム指導者として忘れないようにしたい姿勢だと思いました。
紹介されたドリルはすべて馴染み深いものですが、中身は大幅に刷新されていました。いつまでも学ぶことをやめず、現状に満足せず改善を試み、進化し続ける内容に鷲野先生の凄みをあらためて感じさせられました。言葉足らずになるのを覚悟の上で、具体的に挙げてみます:
(1)とらドリル
ワンボールないしツーボールによるドリブルドリルです。従来と比べて、スタンスを広くして重心を下げつつチェンジの幅を取ることを強調されており、その結果重心移動が鋭く大きいドリブルチェンジが実現していました。
私流には、足を斜めに突き刺すようにストップして(梅原淳先生流と言うべきですね)、体重(おしり?)を斜め下に落とす勢いを利用してチェンジしたボールにスピードを与えることで、チェンジの幅とキレをつくるようにアドバイスしています。
(2)ゆらリズムドリル
メトロノームを利用して、ドライブで抜く際の緩急や間の取り方を身に着けるドリルです。以前はシンプルなその場ドリブルチェンジを何種類も可能な限りのスピードでこなしていくものでした。
しかし今回はその大幅な進化形となっており、実用的な抜き技を11種類に厳選したコレクションに様変わりしていました。クロスジャブ、ヘジテーション、ドロップを始め全ての抜き技に伴う緩急=リズムの変化&ステップワークを、一定のメトロノームのリズムの中に収めるのは並大抵のことではありません。
(3)ペンタゴン
5か所のターゲットエリアを想定してパスをつなぐドリルです。本来はパッシングの中でスペーシングと合わせの動きを学ぶためのドリルですが、今回はディフェンスドリルとしての側面も現れており、更にはオールコートのボール運び/プレスダウンのドリルに応用できることが示されていました。
規則的なパス&カッティングで効果的なポジションを占めていくことから始まり、それに対してディフェンスが対応してきた際の変化、更にドライブを加えての変化、それに対するディフェンスのシールトラップや交差点カバーなど。原理原則に沿った「盾と矛」の応酬が見事に表現されていました。
(4)究極のペイントドリル
従来はペイントエリアの狭いスペースにおいて2対1のパッシング&ムービングを行うなかでジョイントプレーやカッティングを磨くためのドリルです。
今回はそれを2対2・3対3に拡大する中で、オフェンスの合わせや色々な局面でのディフェンスの約束事も徹底させていくようにデザインされていました。
(5)他にもオフェンスの「合わせの5原則(5D)」やディフェンスにおける「させない5原則」、あるいはディレクションディフェンスの方法論など、チームプレーにおける原理原則などにも触れてくださいました。説明するだけで超長文になってしまうので、残念ながらテーマとしてここに掲げるだけにします。
駆け足でクリニックの内容をまとめましたが、これらのドリルの質の高さや奥深さは、私の雑な文章を読むだけではほとんど解らないかも知れません。小学生対中学生ならびに中学生同士のトレーニングマッチでの気づきなどを含め、続編をレポートする際にもう少し深掘りできたらと思っています。
すべては2月上旬にジャパンライムさんから発売される鷲野先生の新作DVD「U-15のチームビルディング〜徹底したい4大ドリル〜」に収録されているはずです。要チェックです!
以上