ドリブルは強くではなく速くつく2

マルチ目線とは?

②マルチ目線という言葉はともかくとして、ドリブルの際にどこをどう見るようにアドバイスしますか?

ディフェンスを見る、リングを見る、対角線のコーナーを見る、首を振ってあれこれ見る、視野角を広げて見る。指導現場ではいろいろな言い方がされています。

はっきりしているのはボールは見ないということでしょう。


でも「ドリブル中はボールを見るな」という声がけは効果的ですか?子供達は素直ですから、一生懸命ボールを見ないようにして、しかも失敗しちゃだめだと感覚を研ぎ澄まそうとします。

結果的にどうなるか。ボールを見ないように顔や視線を上げているものの目は虚ろ、そのくせ脳みそや意識は全部ボールに行っちゃっう。目をつぶってドリブルしてるようなものですから、これを習慣づけてはいけません。

試合での実際を考えてみましょう。ゲーム状況を見るのが最優先ですが、ドリブルが失敗しそうならボールの状態を確かめるし、実際にミスったらボールを探して拾いますよね?


私は「ミスしそうになったらボールを見ていいよ、見なかったらボールがどっかいっちゃうでしょ?」と声がけします。「それ以外はチームメイトを見ながらドリブル。ミスのまきぞえにしたり、まきぞえになったりしないようにね!」と。

失敗しそう/失敗した時はパッとボールを見てリカバーして、またドリブルを続ければ良いのだし、ディフェンスに取られそうならボールをつかんでしまえばいい。あとは失敗を減らすための練習をするだけです。


試合の中のドリブルという観点からは、何を見ながらドリブルをするかのアドバイスはレベルによって大きく異なるのでしょう。

私は基本的に、自分をマークするディフェンスの奥 (リング近くの敵味方)を観ることと、進行方向と逆のコーナー(例えば右ドリブル時は左コーナー)を観ることをドリブラーに(すなわち全員に)求めます。


名ポイントガードの佐古賢一さんは、ドリブル中はコートを上から俯瞰するように見ている感覚を持っているそうです。スキルコーチの中川直之さんの場合は、当然全体を見るが、こうすればああなるという予想すべきパターンをたくさん暗記していると。

これらは既に「観る・見る」のとは別の次元の感覚ですね。いまの私は、どこを・どういう目的で見るかや何を予測するかに関しては、一定の行動・思考を習慣づけるのが良いと考えています。

俯瞰や暗記に比べて習慣づけの方が簡単だというだけでなく、私が大切にしている「戦術のタスク化」にもつながっていくからです。これに関しても、「丸くつく、案内する、開脚」等の最重要ポイントとともに別の機会に触れたいと思っています。

以上

2020/5/26