第一回体験会レポート ドリルのつながり、駆け引き、ボディ&ボールハンドリング
子供たちの吸収力と表現力に脱帽!昨日は横浜ボブキャッツの記念すべき第一回体験会でした。
HPのお知らせ/Twitterでも触れましたが、教わったことを次々に吸収して雑念なく頑張ってくれた子供たちに感謝しつつ、私自身もすごく楽しい時間を過ごさせていただきました。
以下、昨日のレッスン内容をまとめてみました。参加できなかった選手たち、関心をお持ちいただける保護者の方々や指導者の方々にも役立つよう、練習目的や指導上のポイントにも詳しく触れています。
1. すべてのドリルはつながっている
2. ディフェンスとの駆け引きを楽しむ
3. 毎回2つずつ必殺技を伝授する
4. ハンドリングの大切さ:ボール&ボディ
1. 単純なウォームアップや基本ドリルの中に、その日に学ぶスキルに必要な動きや考え方が含まれるように工夫しています。子供たちがそれを意識することですべてのメニューに真剣に取り組めますし、練習のクオリティが格段に高まるからです。
①昨晩の例ですと、クイック・サイドキックは両肩の平行を保つための、ビッグ・サイドキック等は股関節の畳み込みやフラット接地による柔らかいストップのための練習でもあります。攻守のパワースタンスを今後修正していくためにも必須な部分だと考えています。
②胸郭と肩甲骨を動かすドリルは、今回の練習テーマのポケット・ドリブルやロール・ショットと直接つながるものです。これらはともするとキャリィングにつながりやすいですが、胸郭と肩甲骨を正しく使うことでそれは防げますし、動きにリズム/メリハリとキレが出ます。
③ツーステップやハング・ドリブルの分解ドリルは、ドリブル・ドライブにおけるフローティング、フットスイッチ、ポケット/ヘジテーションの動きに発展させました。これらの動きは、時間的な余白をクリエイトして状況判断やムーブを助けるという大きな意味をもっています (次項で詳述します)。
2. 優れたプレーヤーは「身体能力+スキル+状況判断」の3つを兼ね備えています。ミニバス期に能力任せのプレーばかりだと、中学以降に伸び悩みます。私たちはそれを根本から変えたいと思っています。
①昨日の体験会では「横ズレ等を利用してディフェンスを動かす→意図的に時間をつくって状況を見る→ディフェンスの位置と動きに応じてプレーを選択する」というプロセスに分解して、現代的な(?)ドライブ・スキルへのファーストステップにすることを目指しました。
②横ズレの利用とは、リングに向かって縦に抜く前の段階で、ディフェンスのスタンスの外側に足を置きに行き(アングル)、そこからシュートエリアに向かう自分の航路(レーン)をイメージしながら仕掛ることを意味します。今回はツーステップ・フローティングを用いました。
③状況を判断する時間をつくるために、上記のフローティングとともにフットスイッチ&ポケット・ドリブルによってボール操作を長く大きくおこなうことで、ディフェンスの状況を観ること(ウォッチ)が可能になります。
④ここで何を観て、何を予測するのか?これが最重要な指導上のポイントになると考えます。経験値やバスケットボールIQが必要になる部分ではありますが、指導者がプレーロジックを伝えてあげる腕の見せどころだと私は考えています。
基本的には、ディフェンスはインラインを維持できているか、味方の合わせやディフェンスのカバー/ローテションの動きはどうなっているかを観ながら、当初の狙い通りに行くかカウンタームーブに移るかを「後出しじゃんけん」の感覚で決めることになります。ビジョンと予測の大切さに気づいて欲しいところです。
3. 体験会では1回のレッスンで「必殺技」を2つ身につけられるよう、練習メニューの構成を工夫しています。スクールが開始したら、必殺技の数・幅・深みも格段に増していき、子供たちのプレーは目立って進化していくはずです。
①今回上級生にはディフェンスに読まれやすい2拍子の仕掛けをフェイクに用いて、3拍子で仕掛ける技を二つ伝えました。ショットフェイクからのシミー、ならびにスライスフェイクからのスペインムーブ。名称だけだと難しそうですが、既知の動きのシンプルな組み合わせですぐに出来るようになりました!
②下級生はディフェンスがなめてかかって来るのを逆用する技として、フリーズによる裏拍、並びにロールターン・フェイクに挑戦しました。ドリブルの際のハングおよびポケット動作の際の肩甲骨の動きを応用するものですが、ウォームアップ段階で仕込んであったので上手にできていました。
4. 最後の項目になりましたが、ハンドリングは最も大切なエリアであるとの確信を深めている部分です。ボールハンドリング&ボデイハンドリングという言葉がありますが、ボールさばきだけでなく正しく効果的・効率的な動きづくりを重視して指導いたします。
正しい動き方を身につければ怪我や故障のリスクを大きく減らせますし、効果的で効率的な動き方によって、試合を通じて疲れ知らずのパフォーマンスが維持できます。その上に卓越したボールをハンドリングをのせることで、真に突き抜けた選手になっていくでしょう。
日本のスキルコーチングの先駆けになった竹原勝也さんとの出会いが5年前、それ以来竹原さんや海外から招致された外国人スキルコーチの方々からたくさんのことを教わりました。
5年前の時点でもポケット・ドリブル等のコンセプトは今と変わらず存在し、我々もいろいろなドリルを通じて習得を試みていました。現在のジュニア指導の現場において、これらは正しく子供たちに伝えられているでしょうか?
スキル指導とは新しい技を次々に紹介することではなく、自チームのスタイルや選手たちに合わせてスキルセットを取捨選択しアレンジした上で、たくさんの技のベースにある動きの原則や考え方(競技観)を身につけられるようにすることだと考えます。
横浜ボブキャッツの強みはまさにそこにあると胸を張って言えるように、私たち指導陣は学ぶことをやめず、コーチング・スキルを改善し続け、目の前の選手たちと一緒に人間力を高めるべく不断の努力をおこなうことをここにお約束いたします。
一日も早く広いコートで新型コロナのことを心配せずに、子供達とのびのびとバスケットボールを楽しみたいです。どこかの体育館で皆さんにお会いできる機会を心待ちにしております。
横浜ボブキャッツ・コーチ 磯田和彦 堀野正人