練習の臨界点とは? 量が質に転化するための条件

特定のスキルの反復練習を重ねてきたりテーマに沿った色々なドリルを投入し続けてきた際に、突然選手たちのプレーが変わったり、出来なかったことが出来るようになったりすることがあります。

私はそれを、練習が「臨界点」に達して選手たちの中で化学反応みたいなものが起きたのだと解釈しています。一旦そうなると以前のプレーに逆戻りすることはなく、選手もチームも次のレベルに進んだという実感がもてる素敵な瞬間です。

しかしこれが起こるには条件があって、ドリルの目的および他のドリルやプレーとのつながり、動きのポイントや約束事、「自分がこうすれば相手はああなる」的なプレーロジックなどを選手たちに理解してもらうこと。言葉・理論による指導やウォークスルーが必須です。


ボブキャッツでは足柄ドリームキャンプ以降、ボディ&ボールハンドリング、リズム感、コーディネーションといった「スキルの根幹」に関わるドリルを毎回取り入れつつ、シ・ド・パの「オフェンススキルのディテール」を充実させてきました。

対人スキルとチームスキルに関しては、攻守のスタンス、ボール保持・移動を含むジョイント動作、コンタクトプレーといった「改善余地が大きいスキル」を詰めており、フィギュアエイトも動きづくりから「バスケットボールIQの養成」に重点シフトしています。

その結果選手たちの競技理解が高まるとともに特に1対1が大きくレベルアップして、それがドリブルやパスの質にも波及しているという印象があります。全体的な競技力がワンランク上がったので、週間ベースのレッスン計画もシンプルになって来ました。


つまり、スキルの根幹を固め、既存スキルのディテールを定着させ、改善余地が大きいスキルをつき詰め、バスケットボールIQを養成することで、これまでとは質が違うバスケットボールが見られるようになるということです。

また、スキルレッスンに関しては特に、自分の武器になっているスキルを変えるとか直すというのではなく、新しい技を覚えようとしていると考えるよう導いています。そうやってスキルの引き出しを増やしながら、使い分けられるようにしていくイメージです。

大会も始まりつつある今、公式戦に臨んでシュートを確実に決めるメンタルとフィジカルを整え、ミスにつながるような要素を修正しながらも、レベルアップのための臨界点に次々に達するよう最善の努力を重ねていきます。

以上

2020/10/19