【コンタクト意識、SLCVって何?】 12月第1週〜第3週のレッスンレポート Part 1 「コンタクト編」 + スローインとボール運びの原理原則など

2020年12月3日〜12月19日、レッスン#40〜#45

第40回〜第45回のレッスンレポートです。休講が4回あった上に体験会を含む変則的なパターンとなったので、3週間分をまとめた内容になります。表題の付け方を変わったのにお気づきでしょうか?過去のレッスンレポートも順次変えていきます。

今月のレッスンは、内容的にはオンボールならびにオフボールでの攻守のコンタクトにフォーカスしていますが(Part 1)、指導における声がけや説明あるいは練習フォーマットにも大きな変化がありました(Part 2)。


(1) コンタクトの重要性の再発見(?)

コンタクトの重要性・有効性を認識したのは数年前に遡りますが、国際ゲーム等におけるフィニッシュやインサイドのディフェンスプレッシャーといった高尚な(?)理由ではなく、スローインに苦労する自チームの姿を目にしたのがきっかけでした。

ミニバスや中学では強豪チームの多くがオールコートディフェンスで早い機会にボールを奪おうとしてきます。実際ボールが獲れてしまうので採用する戦法なわけですが、選手も指導者もなぜそうなるのか、どう対処するのかを一度しっかりかんがえてみるべきでしょう。

特にスローインでパスを受けようとじたばたして5秒経ってしまうケースや、ボール運びが整理されておらず苦労するケース... この段階でエネルギーを使わせられると、フロントコートに入ってからのオフェンスにも大きな影響が出てしまいます。


(2) オフボールマン: コンタクトからスタートする

スローインであれボール運びであれ、パスを受ける際に自分からディフェンスに対してコンタクトを仕掛けるのが最も効果的です。ディフェンスが押されて下がればオフェンスは突き放す方向に容易に離れることができますし、ディフェンスが踏ん張れば押し合いになりサイドシールした状況と同じになります。

子供たちが最初に習うであろうVカットは、経験値の高いディフェンスには読まれてしまい機能しません。また、コンタクトを避けるとVカットはIカットになってしまい、内線の利があるディフェンスを振り切ることが難しくなります。

より上手なディフェンスになると、オフェンスからのコンタクトをスッとよけてくるので厄介です。シンプルに腕を広げてボールに向かうか、LカットやCカットでディフェンスがパススティールに来れない状況をつくる必要が出てきます。

私はゲームにおいてはガードに対して「シールから!」とか「表も裏もあるよ!」とアドバイスします。下級生には「コンタクトしてから鬼ごっこすれば必ずボールをもらえるよ!」です。練習では”SLCV”と称して”Seal→L Cut→C Cut→V Cut”の順に優先度を設定しています。

なお、経験値が中途半端だと「Vカットあるある」にも注意が必要です。これはVカットすればオフェンスは簡単にボールをもらえると根拠なく楽観し、ディフェンスはスティールは無理と安易に諦めてしまう現象で、そこそこ高いレベルでも見られるものです。


(3) ボールマン: ボール運び・抜き際・フィニッシュのコンタクトスキル

結局スローイン時のコート内は4対5ですから、オフェンスが不利である点を甘くみてはいけません。またボール運びは人数をかけるほどミスの機会が増えます。トップレベルではほとんどのチームが、ガードにスローインのレシーバー役とボールハンドラー役を任せるのはそれが理由です。

ジュニア期にはポジションレスが尊ばれますので、ボール運びを特定の選手に任せることには抵抗があるかも知れません。その点フィギュアエイトでは5人全員がパサー、レシーバー、ボールハンドラー、フィニッシャーなど多くの役割を担うので、ジュニア期に教える意義は大きいと考えます。

さてドリブルでのボール運びを担う場合を含め、ボールマンとしてのコンタクトスキルはSLCVとは異なる原理によります。すなわち「ボール移動やボールプロテクション、あるいはドリブルやシュートのコントロールを行いつつのコンタクト」をおこなうための手法を体系化することになります。

これらは昨今のスキルコーチングの普及で急速に整備されつつあると思われる部分です。来年度の競技規則でオフェンスならびにディフェンスのシリンダーの概念が明確化されることとあいまり、試合の中でどう表現されていくのかを注意深く見守りたいです。

(Part 2に続く)

2020/12/21