"横浜ドリーム2020" トレーニングマッチの収穫 Part 2: ベンチワークについて&総括

2020年12月29日、本郷小学校

(2) 試合を楽しむためのベンチワーク

実力差があろうが局面局面で成功体験を得ることはできますし、強い相手と戦うことを楽しむことができるメンタリティは私が特に大切にしているものです。子供たちにとって今は手が届かないステージであっても、きっと将来は手が届くステージになり得るからです。

その意味で今回の横浜チーム対弥富北中のゲームは、上手くいかなかろうが点差が開いていこうがチャレンジを続け、この貴重な経験を自分たちの成長につなげることを目標に指揮を執りました。以下は、当日のベンチワークにおいて私が意識して実践したポイントです。


① 試合前: まずみんなで共通認識を持つべきこととして、相手のプレースタイル、こちらのメンバー構成の特徴と役割分担、予想される試合展開(得点や失点のパターン)などをイメージしてもらいました。急造チームでは特に役割分担が重要になり、スローイン、ボール運び、プレーメイク、リバウンダーとセイフティなどは密に確認するようにしています。

また、トラップDEFが予想されたので、パスのレシーバーはDEFの影に入らないように動き続けてパサーと目が合うポジションを維持すること、ドライブ時はスペースクリアと後詰め(止められた際のレスキュー)を意識することの二つを念押ししました。前者は合わせのベースになるものでシンプルですが効果絶大です。


② 声がけ: 練習時のスクリメージと同じく対外試合においても、結果論で評価しないこととダメ出ししないことを自分自身に言い聞かせています。このレベルの相手だと「考えてプレーする」のは局面毎のタイムレースに負けるだけなので、私からの評価を気にせずに感じたままにパッとプレーしてもらいたいとも思っています。

また、原理原則に即した(私が期待する)プレーには「そう!」「いいよ!」と承認の声がけをすることで、正の強化(positive reinforcement)によるプレー定着が期待できます。負の強化は正解を与えはしませんから、即席チームでの試合では機能しないと考えています。良いプレーにはとにかく逐一「ナイス◯◯」と声をかけることで、トータルの得点ではなく一回一回のプレーに集中するように持っていこうとしました。


③ 選手交代: ミスをしたらベンチに下げられると選手に思わせてしまうと、上に書いたような自立・自律や有能感を目指した前向きな声がけは無意味になってしまいます。ベンチに下げる時間はなるべく短くして再投入しますが、先に交代でコートに入った選手とまた代えることはせず、それぞれをなるべく長くプレーさせるようにします。そのためには選手のローテーションのパターンを相当工夫せねばなりません。

なお、交代させた選手に対して私は「ダメだからベンチに下げたんじゃないよ。またすぐ出るから休みながら気持ちの準備をしておきな。アドバイスしたいから水分をとってすぐ戻っておいで。」と言うようにしています。交代で入る選手には一つか二つだけに絞って必ずやってみて欲しいことを伝えます。こちらは経験の浅い中1+小6のチームでしたが、弥富北中に対して必死でくらいついてくれたことに感謝感激でした。


④ アドバイス: 今回の交代時・タイムアウト時の具体的なアドバイスの例を挙げておきます。
- ガード同士の連携では、相方にパスして任せっぱなしにせずパス後の動きを工夫すること(パス&ラン、アラウンド、P&R、ドライブへの後詰めなど)。
- チームディフェンスでは、カバーを意識して下がり過ぎるとパスが自在に回って守りきれなくなるだけなので、絶対に引かないこと。
- トランジションが鈍いので、OF→DEF・DEF→OFともにハーフラインまでは必ずダッシュして、間に合うなら走り続ける/遅れるなら次を考えて減速して構わないこと。

私は大学時代に中学生男女を3年ほど指導し、現在もミニバス有志でつくった広域リーグは一般ルールで試合をおこなっています。ミニバスルールと中学以降のルールが今後一本化されることもあり、上述したような選手交代やタイムアウトのノウハウを更に蓄積し共有していきたいと思っています。


(3) 総括: ”横浜ドリーム2020”を無事に終えることができたのは、コロナ禍の懸念が増す中で参加された選手達や指導者・チーム関係者の皆さん、子供達を送り出してくださった保護者の方々のお陰ということに尽きています。改めてお礼申し上げます。

鷲野鋭久先生のクリニックはナショナル育成キャンプ等での実際の指導に沿った内容でもあり、全国レベルのファンダメンタルズ(基礎・基本)の質の高さやスキルの幅広さを知ることが出来たと思います。ボブキャッツHPにも先日レポートを掲載しました( https://bobcats-yokohama.com/blog/118334.html )。

弥富北中女子チームとのゲームでは、日本一を目指す選手達の気持ちの強さと技の速さ・正確さ・賢さを感じてもらえたことでしょう。6年生には中学ルールも体験してもらい、中学生には手加減なしの真剣勝負を味わってもらいました。


”横浜ドリーム2020”はクリニックも交流ゲームも日本一の内容、日本一のレベルであったと自負しています。選手や指導者の皆さんはぜひ、今回の経験を今後に活かしていってください。鷲野先生のクリニック第二弾もお楽しみに!

ボブキャッツでも鷲野先生のアプローチを多面的に採用しておりますので、いつでも見学等いらしてください。選手の皆さんは無料体験や3月までの入会キャンペーンも利用できますので、今回の復習だけでなく「続編」も体験して欲しいです。


ホームページにある通り、私達はミニバスおよび中学部活の選手達、指導者、保護者の方々と広く手を携えて、笑顔でバスケットボールを楽しみ「目指す最高の自分」になろうと頑張る子供達のお手伝いをしたいと考えています。

選手が所属するミニバスチームや部活チームで活躍できるように、個の力=個人スキル&個人戦術を育んで参ります。また、所属チームの活動に影響しない範囲で、今回の交流戦のように対外試合にもチャレンジしていきます。今後とも横浜ボブキャッツをどうぞよろしくお願いいたします!

以上