スペーシングから合わせへ: コート図からの理解

オフェンスはスペーシングがすべて

先日投稿した「合わせからのバックドア」の動画を、スペーシングの観点からコート図を利用して解説してみました。

コート図4つと動画はInstagramに投稿したものをご覧ください。: https://www.instagram.com/p/CT19EQPFkk0/?utm_source=ig_web_copy_link


「オフェンスはスペーシングが全て」とよく言われます。

先日動画をご紹介した「合わせからのバックドア」も、前もってデザインされたパターンオフェンスではなく、スペーシングに関する5人の共通理解からその場で生まれたものでした。


以下、プレーの展開に沿ってスペーシングを読み取ってみます。コート図の選手5人には背番号とポジションを付しました。

⓪ ゾーンプレス全盛時代からずっと、スローインからのボール運びの際には1-3-1隊形を活用してきました。相手がプレッシャーM2Mの場合も非常に有効な上に、側線速攻や3線速攻への移行も簡単かつスムースです。

この動画では1-3-1隊形をセットし終わる前にガードがサイドシールでパスをもらえたので、1-2-1-1隊形からのボール運びになっています。


①スローインのレシーバーがミドルレーンをドリブルで進み、スロワーは左サイドに、もう1人のガードは右サイドに大きく広がって、ドリブラーのスペースを確保しつつ並走。他の2人(一応?センターとフォワード)も両サイドに広がり、コーナーに降りて行く。


②(コート図A;エントリー) ドリブルハンドオフを用いながらボールは⑦のドリブルでミドルレーンを進み続け、フロントコートに入った時には1-2-2隊形が出来上がっています。ここでの有効スペースは明らかに制限区域を中心とする中央エリアです。


③ (コート図B;④のハイポストフラッシュ) この中央エリアを利用するために、センター④は左コーナーに行かずにアングル(直角)カットでハイポストにスライド。その結果、今度は左サイドに新たな有効スペースが生じます。


④(コート図C;⑦のパス&ラン+⑤のバックドア) この左サイドのスペースを、まずは左レーンのガード⑤がバックカットでリング下に向かいます。一方で、ボールマン⑦はハイポスト④経由でパス&ラン、こちらも左サイドのウィング辺りのスペースを使おうとします。


⑤ (コート図C;④→⑦のパス) ハイポスト④はリング下のガード⑤ではなくウィングにカットしたパサー⑦にボールを戻しつつ、壁になってディフェンスがボールマンを追えないようにします。この時点でフリースローライン辺りから上のスペースは、ヘルプに寄って来たディフェンスで混雑し始めます。


⑥ (コート図D;⑦→⑤のパス) 再びボールを得たガード⑦は、自分の周りのスペースが狭まる一方でリング下の⑤のスペースが空くのを察知して、タップパスでボールを放り込みます。右コーナーのディフェンスがカバーに回るが、⑤はそれを体で遮りながらのバックショットが成功!


⑦もしリング下で打てなかったとしても、今度は右コーナーから合わせているフォワード⑧にチャンスが生じます。ちなみに、右レーンのガード⑥はボールに合わせながら移動し、最後はセイフティポジションに入っています。

ミニバスではなく3Pショットが武器になる中学以降であれば、⑧はコーナーに開いて3Pの準備をして、④がスクリーンからのダイブを狙うことになるのでしょう。


このように5人の動きを追っていくと、選手たちはそれぞれが得点に結びつくアクションを考えながら、非常にロジカルな判断をしていることが解ります。

そしてそれらの判断の基準になっているのが「スペーシング=スペースがどういう順番で空いていくか?」の予測であるわけです。

以上