スペーシングから合わせ(続): 失敗例と理想形をコート図から理解する

やはりオフェンスはスペーシングがすべて

前回投稿した「バックドアへの合わせ」の続編です。

惜しくも攻め切れなかったシーンですが、スペーシングの観点から見直してみると、失敗の原因は?どうすれば良かったのか?がよく解ります。

動画と解説用のコート図4つはInstagramに投稿したものをご覧ください。:https://www.instagram.com/p/CUPsQiXlJzv/?utm_source=ig_web_copy_link


🏀プレーの展開は以下の通り。2桁の数字は背番号です。Q1〜Q3の3つの質問に答えてみてください!
①トップの75からハイポストの65にボールが入って、ウィングの23がキャッチボイスも高らかに綺麗にバックドア。

ハイポストへの動きはウィングからのシャローカット、DEFにとって非常に守りにくい動きで◎

② (コート図1:失敗例1) ギリギリでパスが入るかな?って感じだが、ハイポストはリング下の2人のDEFが気になってパスできなかった様子。

 Q1. なぜそこにDEFがいたのか?チームとしてどうすれば良かったのか?

③ウィングは逆サイドに切れていったので、今度はガードの75が同じスペースに走り込む。後者も非常に良いプレー。

 Q2. 実はウィングの23は逆サイドではなくボールサイドに開く方が効果的だった。それはなぜか?

④ (コート図2:失敗例2) ハイポストの65はガードの75にパスを出したが、青14(イエローのバスパン)のDEFに上手くカバーされてしまった。

 Q3. 制限区域内のスペースがなくなっている。チームとしてどうすれば良かったのか?


🏀🏀以下、3つのQuestionの答え合わせです!

Q1⇨逆サイドの2人の選手(18と53)のポジションはどうでしょう?

ガードの65がポストアップしたためにビッグマン2人が浮いてしまった状況ですが、ビッグマンもアウトサイドの動きを練習せねばと思わされるシーンです。


要はこの2人は、自分をマークしているDEFを引きつけて、ウィングの23のためにスペースをつくる必要があったわけです。そうすれば、ウィングからバックドアカットした23はリング近くでパスをもらえたでしょう。


中学以降であれば18はコーナーで3Pの用意、53はハイポストの65からのパスに合わせる動き(ハイロー・ポスト)が欲しかったところです。



Q2⇨23はバックドアに走り込んだ勢いのままに逆サイドへ出ましたが、マークしていた青14(イエローのバスパン)のDEFはその場に残ってしまい、ボールサイドを守るためにカバーポジションを取りました。 (コート図2:失敗例2)
 
もし23がボールサイドのコーナーに開いておれば、DEFの14はコーナーの23と走り込んで来る75の両方を守らねばならず、オフェンス有利の状況になったはずです。 (コート図3:理想形1)
 
逆サイドにはまさかのビッグマン2人がたむろしており、スペースはキツキツ状態ですね!? 上手く動けば誰かはフリーになれそうな状況です。詳しくは次のコメントで。



Q3⇨そもそも75が走り込んだ段階でガードポジションは誰もいないので、ビッグマンながら53がそこを埋めるために上がるべきでした。

あくまでも53にリバウンドさせたいのであれば、65がハイポストからポップアウトするのでしょう。

18のビッグマンはハイローポストが不発に終わった時点で、コーナーに開いてスペースを空けて欲しかった。そうすれば前回のの動画のように、23が時間差のパスをリング下で受けることもできたでしょう。 (コート図3:理想形1)



🏀🏀🏀今回のように23が逆サイドに流れた場合、ハイポスト65とビッグマンの1人53がガードポジションに上がり、ガード75とビッグマン18に大きなスペースを与えるのもOKです。

これはドリブルドライブモーション(DDM)の典型的なセットアップになります。フリースローラインから下のスペースを見ると、75・18・23 vs. 14・37の3対2のアウトナンバー状況になっていることも判ります。(コート図4:理想形2)


このように、失敗に終わった原因は複数あり、それぞれがプレー原則の大切さを感じさせる「濃い」ロジックになっています。また、逆サイドで詰まってしまった3人のうち1人でもプレー原則に沿った動きをしていれば、合わせは成功していたでしょう。

今回のケースは個の力すなわち突破力やシュート力ではなく、スペーシングの共通理解が問題になっていました。

やはりバスケットボールは5人でおこなうスポーツなんですよね。

以上