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練習がすべて (その1)
正しい努力を楽しく練習=準備、練習=努力、練習=結果ではなく過程、練習=??
色々な考え方がありますが、どれも真理の一端を捉えているのでしょう。更には、準備していなかったことへの対応力、努力よりも夢中が勝る、結果が大事といった考え方も一聴に値すると感じます。
現在の私のスタンスは「練習がすべて」「子供たちの自立・自律」「一生懸命を楽しむ」というものです。
子供たちによく言うのは「努力しないで試合して負けるのは当たり前、努力しないで試合に勝っても得るものはゼロ」ということです。競技者にとって努力は無条件でくっついてくるもの、であれば努力の過程を楽しめるものにしようよと。
そして、夢中になって楽しむことを子供たちと私で追求していく中で、子供たちは自立していき、チームは自律していきます。では夢中で楽しめる練習ってどんなだろう?前置きが長くなりましたが、これが今回のテーマです。
①すべての練習メニューに意味を持たせる
②子供を否定しない、過小評価しない
③子供の成長を信じて待つ
④バスケと言えばシュートでしょ!
⑤やっぱゲームでしょ!
①私は5分〜10分刻みでその日の練習メニューを計画しますが、流れとしては動きづくり→ハンドリング→ドリブルワーク→シューティング→1対1→パッシングと連携プレー→トランジション→スクリメージというパターンが多いです。
毎回のメニューが同じにならないよう工夫すると同時に、1対1でチャレンジしたいムーブにつながるようにそれ以前の内容を選び、スキルのつながりをデモンストレーションして見せるようにしています。前回のブログ「第1回体験会レポート」もその一例です。
スキルを列挙するのではなく、個々のスキルのつながりを指導者が理解した上で練習を構築すること。非常に重要なポイントですので、別の機会にブログで触れたいと思っています。
今日はどういうプレーを学ぶのか、そのためにどういう動きや考え方が必要になるのかを子供達が理解して、それに向けてあれこれ試してみたり工夫したりする姿を見るのが私は大好きで、そういう時間を大切にしています。
②それぞれのメニューにおいてポイントややり方を説明した後は、子供達がそれにチャレンジする時間になります。大人が成功・完成を急かしたり、ダメ出しして矯めようとするのは良くありません。
競技規則を犯さない限り試合は続行するのですから、練習においてもルール違反でない限り子供たちの全てのプレーを大人は受け入れましょう。「それも技なんだし全然OK。で、今日の新しい技の違いは◯◯だね、試してごらん!」などと挑戦を促すように私は意識しています。
また、子供が教わったことと異なる動きをしちゃっても、実は後日教わる高次のスキルと同質のものだったりで驚かされることも多いです。ドリブルショットで手や足が逆になるのは最たる例で、最終的に必要になる4種類(順手順足・順手逆足・逆手順足・逆手逆足)に含まれる動きであって、直させる必要はないものなんです。
子供独自の動きにはちゃんと理由があったり、指導者の教えよりも合理的だったりすることもままあります。子供を過小評価せず、同じ目線・視点でコートに立つことで色々なことが見えてきます。私にとってここ数年間で最大の気づきの一つです。
③子供たちは頑張って正しい努力を続けていて、昨日より今日、今日より明日、必ず向上しています。そして突然に開花して、私たち大人をおおいに驚かせることでしょう。その日が来るのを信じて待つのは、じれったいどころか楽しく幸せなことだと思います。
普段の練習でも、四苦八苦している子供はしばらく見守ってみることです。長年ミニバスを指導してきて、上手くいかない理由や改善法がすぐにわかりますし、早くマスターするコツも熟知しています。それでもアドバイスしたいのをグッとこらえる。
そうすると子供は自分でトライアル&エラーを繰り返しながら変わろうとします。自発的な行動変容は外発的なものと異なり、持続性、応用性、有能感などの点で遥かに秀でていることが知られています。
指導者以外の大人の皆さんも、そうやって子供たちを見守ってあげて欲しい。そして試行錯誤の末に成功した時に子供が見せてくれる笑顔やジャンプ、思わず握ってしまった互いのこぶし。そういう一つ一つのドラマをしっかり見届けてあげて欲しいです。
(続きます)
第一回体験会レポート ドリルのつながり、駆け引き、ボディ&ボールハンドリング
子供たちの吸収力と表現力に脱帽!昨日は横浜ボブキャッツの記念すべき第一回体験会でした。
HPのお知らせ/Twitterでも触れましたが、教わったことを次々に吸収して雑念なく頑張ってくれた子供たちに感謝しつつ、私自身もすごく楽しい時間を過ごさせていただきました。
以下、昨日のレッスン内容をまとめてみました。参加できなかった選手たち、関心をお持ちいただける保護者の方々や指導者の方々にも役立つよう、練習目的や指導上のポイントにも詳しく触れています。
1. すべてのドリルはつながっている
2. ディフェンスとの駆け引きを楽しむ
3. 毎回2つずつ必殺技を伝授する
4. ハンドリングの大切さ:ボール&ボディ
1. 単純なウォームアップや基本ドリルの中に、その日に学ぶスキルに必要な動きや考え方が含まれるように工夫しています。子供たちがそれを意識することですべてのメニューに真剣に取り組めますし、練習のクオリティが格段に高まるからです。
①昨晩の例ですと、クイック・サイドキックは両肩の平行を保つための、ビッグ・サイドキック等は股関節の畳み込みやフラット接地による柔らかいストップのための練習でもあります。攻守のパワースタンスを今後修正していくためにも必須な部分だと考えています。
②胸郭と肩甲骨を動かすドリルは、今回の練習テーマのポケット・ドリブルやロール・ショットと直接つながるものです。これらはともするとキャリィングにつながりやすいですが、胸郭と肩甲骨を正しく使うことでそれは防げますし、動きにリズム/メリハリとキレが出ます。
③ツーステップやハング・ドリブルの分解ドリルは、ドリブル・ドライブにおけるフローティング、フットスイッチ、ポケット/ヘジテーションの動きに発展させました。これらの動きは、時間的な余白をクリエイトして状況判断やムーブを助けるという大きな意味をもっています (次項で詳述します)。
2. 優れたプレーヤーは「身体能力+スキル+状況判断」の3つを兼ね備えています。ミニバス期に能力任せのプレーばかりだと、中学以降に伸び悩みます。私たちはそれを根本から変えたいと思っています。
①昨日の体験会では「横ズレ等を利用してディフェンスを動かす→意図的に時間をつくって状況を見る→ディフェンスの位置と動きに応じてプレーを選択する」というプロセスに分解して、現代的な(?)ドライブ・スキルへのファーストステップにすることを目指しました。
②横ズレの利用とは、リングに向かって縦に抜く前の段階で、ディフェンスのスタンスの外側に足を置きに行き(アングル)、そこからシュートエリアに向かう自分の航路(レーン)をイメージしながら仕掛ることを意味します。今回はツーステップ・フローティングを用いました。
③状況を判断する時間をつくるために、上記のフローティングとともにフットスイッチ&ポケット・ドリブルによってボール操作を長く大きくおこなうことで、ディフェンスの状況を観ること(ウォッチ)が可能になります。
④ここで何を観て、何を予測するのか?これが最重要な指導上のポイントになると考えます。経験値やバスケットボールIQが必要になる部分ではありますが、指導者がプレーロジックを伝えてあげる腕の見せどころだと私は考えています。
基本的には、ディフェンスはインラインを維持できているか、味方の合わせやディフェンスのカバー/ローテションの動きはどうなっているかを観ながら、当初の狙い通りに行くかカウンタームーブに移るかを「後出しじゃんけん」の感覚で決めることになります。ビジョンと予測の大切さに気づいて欲しいところです。
3. 体験会では1回のレッスンで「必殺技」を2つ身につけられるよう、練習メニューの構成を工夫しています。スクールが開始したら、必殺技の数・幅・深みも格段に増していき、子供たちのプレーは目立って進化していくはずです。
①今回上級生にはディフェンスに読まれやすい2拍子の仕掛けをフェイクに用いて、3拍子で仕掛ける技を二つ伝えました。ショットフェイクからのシミー、ならびにスライスフェイクからのスペインムーブ。名称だけだと難しそうですが、既知の動きのシンプルな組み合わせですぐに出来るようになりました!
②下級生はディフェンスがなめてかかって来るのを逆用する技として、フリーズによる裏拍、並びにロールターン・フェイクに挑戦しました。ドリブルの際のハングおよびポケット動作の際の肩甲骨の動きを応用するものですが、ウォームアップ段階で仕込んであったので上手にできていました。
4. 最後の項目になりましたが、ハンドリングは最も大切なエリアであるとの確信を深めている部分です。ボールハンドリング&ボデイハンドリングという言葉がありますが、ボールさばきだけでなく正しく効果的・効率的な動きづくりを重視して指導いたします。
正しい動き方を身につければ怪我や故障のリスクを大きく減らせますし、効果的で効率的な動き方によって、試合を通じて疲れ知らずのパフォーマンスが維持できます。その上に卓越したボールをハンドリングをのせることで、真に突き抜けた選手になっていくでしょう。
日本のスキルコーチングの先駆けになった竹原勝也さんとの出会いが5年前、それ以来竹原さんや海外から招致された外国人スキルコーチの方々からたくさんのことを教わりました。
5年前の時点でもポケット・ドリブル等のコンセプトは今と変わらず存在し、我々もいろいろなドリルを通じて習得を試みていました。現在のジュニア指導の現場において、これらは正しく子供たちに伝えられているでしょうか?
スキル指導とは新しい技を次々に紹介することではなく、自チームのスタイルや選手たちに合わせてスキルセットを取捨選択しアレンジした上で、たくさんの技のベースにある動きの原則や考え方(競技観)を身につけられるようにすることだと考えます。
横浜ボブキャッツの強みはまさにそこにあると胸を張って言えるように、私たち指導陣は学ぶことをやめず、コーチング・スキルを改善し続け、目の前の選手たちと一緒に人間力を高めるべく不断の努力をおこなうことをここにお約束いたします。
一日も早く広いコートで新型コロナのことを心配せずに、子供達とのびのびとバスケットボールを楽しみたいです。どこかの体育館で皆さんにお会いできる機会を心待ちにしております。
横浜ボブキャッツ・コーチ 磯田和彦 堀野正人
レイアップは庶民シュート?
言うほど簡単には決まらないんだよなぁ...レイアップショットは漫画「スラムダンク」で庶民シュートと呼ばれるくらいに基本的なスキルと考えられていますが、指導する上で特に簡単でもなければ、実戦ではディフェンスが最大のプレッシャーをかけてくるので、イージーと言うほど確率が高いわけでもないのが現実です。
リング近くのレイアップショットとジャンプショットは確かに初心者・初級者に最初に教えるものなのですが、海外ではオーバーハンドから教えるのだとか、ジャンプショットにつなげやすいのだなどとノイズ(?)が紛れ込んできて、なかなか一筋縄ではいきません。
オーバーハンド vs. アンダーハンドという意味では、練習指導&実戦経験から私が言えることは、同時に教えるのでも構わないし、オーバーハンドレイアップの方が優れているわけでもなく、両方が必要であるということです。
オーバーハンドレイアップは2種類あります。アンダーハンドレイアップと合わせて3種類です。
①まず、ジャンプして空中でジャンプショットのフォーム(例えば右手がボールの下、左手が横から支える)をつくって打つ。JBAがとか欧州がとか言われるのはこちらです。
ボールの推力を弱めるために十分に空中でタメる必要があり、それが不十分な低学年や初心者がこのシュートをすると、バゴーンと大きく弾かれるようなシュートになります。なので、初心者向けとは言えません。
②もう一種類は、早いタイミングで支える手を離してボールを片手に乗せ(肩のあたりで片手にする;上級版はドリブルからそのまま片手で)、そのまま脱力感の強い手・腕でボールを放つやり方です。フローターはこのシュートの延長上にあり、特に難しいものではありません。
低学年はそもそも脱力しているというか力感がない手・腕の振りになるので、思い切り打ってちょどう良い印象です。上記①のようにジャンプショットのフォームを作る必要がなく、楽なタイミングで片手片足でポンとボードに当てるだけなので、初心者に教えるのも容易です。
このショットの重要な応用型としてランニング・フックがあります。私は「背中に羽が生えていると思って、手ではなくて羽の方でシュートして」と指導しています。片手でボールさえ飛ばせるなら、低学年でも簡単にマスターできます。
③アンダーハンドレイアップの難しさは、片手の手のひらにボールを安定させるハンドリングが必要になる点です。
上に書いた②のシュート方法においては、ボールを投げあげる力+ボールの重さでボールが手に押し付けられますが、アンダーハンドの場合はボールが横に逃げやすいからです。手のひらが小さい低学年や初心者が両手でアンダーハンドレイアップをしようとするのもこれが理由です。
また、ボールを投げ上げる勢いは、体重の軽い低学年とリングの高い中学生以降はそこそこ必要で「ジャンプして(下から)シュッと投げる」ことになりますが、高学年はジャンプの勢いがボールに乗り移るのでまさに「ボールと一緒に跳んだあとにポンと置いてくる」感じになります。
【結論1】アンダーハンドレイアップを教えるのを後回しにするのは私は反対です。
攻めるアングルを広くするのに非常に有効なリーチバック、レイバックはアンダーハンドでしか出来ませんし、ボールをディフェンスから遠ざけて打つのも、アンダーハンドの方が操作しやすいです。
また、ディフェンスを縦にかわすブロードジャンプ(前に流れる跳び方、JXの藤岡麻菜美選手など)やダブルクラッチからのシュートは、アンダーハンドで勢いやタイミングをコントロールする必要があります。
なお、チェストパスもそうですが、NBAの試合をみてもアンダーハンドレイアップは余り使われないなんてことは全くありません。
【結論2】②と③を並行して教えるのがベストだと考えます。
ボールの片手操作を初期から当たり前にしたいのと、シ・ド・パを通じて同じメカニズムでボール操作をすれば足りることから、②を優先することに異論はありません。
私は通常リングが6つあるコートを使用するので(メイン2つ、サイド2つx2)、メインリングでアンダーハンド、サイドリングでオーバーハンド(ないしストップショット)とレイバックという感じで、3種類いっぺんに練習することが多いです。
上の①の打ち方はジャンプショットやドリブル・プルアップショットと同質のより難易度の高い動作で、いわゆるツーモーション・ショットが出来るだけの身体操作・内部感覚をじっくり作ってからの方が習得が早いし正しいスキルが身につくと思います。
以上