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試合は自分たちで創るもの: 自立した選手こそが強い

自ら動くことの強さ

5年前のクリスマス、ミニバス区大会決勝でのシーン。(動画はInstagram投稿をご参照ください: https://www.instagram.com/p/CUW-tRJlYJ9/?utm_source=ig_web_copy_link )


🏀デリケートな子が多く、指導テーマを「泣かない&泣かせない、試合も練習も自分たちで創る」にしたほど…

自立しよう!と言い続けた手前、細かい指示はしたくなかった。試合中は「あわてないで」と「インライン(ディフェンス)」だけでした。

でも、これらの動画からはそういう心の弱さとか悲壮感、受け身でやらされてる感は感じられませんよね?


🏀🏀3つの動画の共通点は好プレーに対する子供たちの反応です。

(動画1) 見事なバックカットからのシュートはリングに嫌われたものの、リバウンド争いで相手がボールをライン外に出してしまう。

マイボールになった瞬間に、飛び跳ねたりクルクル回ったりスキップしたり!次の動画につながる重要なプレーでした。

(動画2) スクリーンを意識しすぎた相手を上手く押さえながら、リング近くのシュートはバスカンに。

全員にいっぺんに抱きつかれてフリースローに向かえないほど!もう1本もワンハンドできっちり決める。

(動画3) 相手は170台を擁し、こちらは全員160未満… 気力でリバウンドを粘り、最後はバスカンをもらう。

仲間たちに次々に抱きつかれながら、気持ちはすでにフリースローに向けて集中。綺麗なワンハンドショットの行方は?


🏀🏀🏀試合後に「みんなの雰囲気最高だったじゃん!」と褒めたところ、「ナイスプレーのたびに全員が笑顔で盛り上げるって決めてました!」とのこと。

実際この動画の時点では25対23で、勝利を意識するにはまだ遠い状況でした。

子供たちはただただプレーに集中して、やるべきこと、やれることを最後までやり続けたという印象です。

指導内容でもその日の作戦でもなく、子供たちが自立して、試合をどんなものにしたいかを考えて実行してくれたことが嬉しかった。


「自分たちの手で勝ち取った優勝なんだから最高だよ!」と言っていたと親御さんたちから後日聞きました。

この有能感こそが、競技スポーツを通じて子供たちに獲得して欲しいものなんです。

練習でも試合でも、子供達に有能感を持ってもらうことを第一の目的として臨みたいと私は思っています。


以上

パッシングの面白さ: 視野の広さ⇦⇨遠投力

遠投力がつくと前線を見れるようになる!

コロナのせいで久々のレッスンの終盤、待望のゲームでのひとコマ。ハンドリングはさすがに落ちているかも...しか〜し!

(動画はInstagram投稿をご参照ください: https://www.instagram.com/p/CUUunC-laDl/?utm_source=ig_web_copy_link )


🏀「習い性となる」:ボールを持ったら反対側のリングとコーナーを見て、パスコースを感じたら投げる、投げる!

ディフェンスが一生懸命になるほど、フリースローラインより奥の最前線とサイドライン沿いにポッカリ穴ができるもの。そこに積極的にパスを放り込む。レシーバーはドンピシャのパスが来ることを信じて全力で走り抜く。

失敗しても、相手は一番遠いエンドスローインからの攻めになるだけなので全然OK。これは全中6回優勝の杉浦裕司先生が若水中で2連覇した時代に採用していた戦法です。

ディフェンスがその穴をふさごうとすれば、今度はミドルレーンの守りが手薄になり、ドリブラーが楽に運ぶことが出来るはず。結局はディフェンスが答えをくれるし、攻め気が新たな攻め筋(ドライブやパスのコース)をつくるということです。


🏀🏀 動画では2往復半、つまり連続5回の攻防がすべてロングパス主体のものになっています。

ジュニア期のゲームはドリブルショットの応酬になりがちですが、ボブキャッツの子供たちは良くも悪くも強気の早い・速いパスの応酬になるんですよね!? 良いパスを出せる子というのは、バスケIQが高いだけでなく視野が広い。そして視野が広いのは遠投力があるからなんだなといつも思わされる場面です。

みんなの良い点は、無駄なドリブルをして速攻のチャンスをつぶしたりが無いこととオフボールの4人がみんな切り替えを早くして走ってくれること。悪い点というか課題は、スピーディな攻めの中でのパスの精度ならびにパス主体の攻めを相手に読まれた際にドリブルに切り替える臨機応変さです。

小中学校段階の上位チームは前掛かりのディフェンスからの速攻を武器にしていることが多いですが、パッシング主体の攻めはそういうチームのプレスを攻略するのに必須ですし、ハリーバックの重要性や効果も理解しやすいです。


🏀🏀🏀 最後に、パスに注目しながら 5回のオフェンスを評価してみます。

① ガードがドリブルを4回もついており、お互いに慎重に行き過ぎたかな? 先頭を切ってリムランするセンター53がフルスピードで走って構わないケースで、そうすればガード(パサー)はワンドリブルでロングパスを投げられたはず。

② 最前線のオフェンスに追いつこうと懸命なあまり、DEFはボールを見ずに戻っていてパスが通ってしまった。レシーバーがしっかり反転してミートしている点をほめてあげたい。ファウルされやすい局面ゆえ、バスカンを意識したフィニッシュを!

③ エンドラインのギリギリまで飛ばしたパスだからこそ、DEFの頭を越えることができた。パサーがもう1回ドリブルをついていたら、自分のDEFの手に引っ掛かるかあるいはレシーバーのDEFにカットされた。これも隠れた好判断。

最前線でパスを受けた選手は、実は有利な位置にいることに注目したい。エンドライン沿いのレイバックショットは効果的だし、ミドルドライブなら多様なフィニッシュが可能。ただしこの例では、トレールで入って来た53のセンターにパスしたいところ。

④ ハーフライン辺りでスローインパスを受けた選手、着地の勢いを活かしながらのクロスコートパスはクイックで最高!レシーバーはドリブル無しでレイアップに持ち込むようにすれば、DEFにブロックされる心配がなくなるはず。

⑤ ガードが逆サイドのコーナーまで見通せたのは素晴らしい💮 DEFが後ろを向いていたのに気づいて、ワンドリブルで遠投に出たのもGOOD! 前線のセンターがパスに気付くのが遅かった点は残念だが、経験を積む中で分かるようになるはず。


以上

スペーシングから合わせ(続): 失敗例と理想形をコート図から理解する

やはりオフェンスはスペーシングがすべて

前回投稿した「バックドアへの合わせ」の続編です。

惜しくも攻め切れなかったシーンですが、スペーシングの観点から見直してみると、失敗の原因は?どうすれば良かったのか?がよく解ります。

動画と解説用のコート図4つはInstagramに投稿したものをご覧ください。:https://www.instagram.com/p/CUPsQiXlJzv/?utm_source=ig_web_copy_link


🏀プレーの展開は以下の通り。2桁の数字は背番号です。Q1〜Q3の3つの質問に答えてみてください!
①トップの75からハイポストの65にボールが入って、ウィングの23がキャッチボイスも高らかに綺麗にバックドア。

ハイポストへの動きはウィングからのシャローカット、DEFにとって非常に守りにくい動きで◎

② (コート図1:失敗例1) ギリギリでパスが入るかな?って感じだが、ハイポストはリング下の2人のDEFが気になってパスできなかった様子。

 Q1. なぜそこにDEFがいたのか?チームとしてどうすれば良かったのか?

③ウィングは逆サイドに切れていったので、今度はガードの75が同じスペースに走り込む。後者も非常に良いプレー。

 Q2. 実はウィングの23は逆サイドではなくボールサイドに開く方が効果的だった。それはなぜか?

④ (コート図2:失敗例2) ハイポストの65はガードの75にパスを出したが、青14(イエローのバスパン)のDEFに上手くカバーされてしまった。

 Q3. 制限区域内のスペースがなくなっている。チームとしてどうすれば良かったのか?


🏀🏀以下、3つのQuestionの答え合わせです!

Q1⇨逆サイドの2人の選手(18と53)のポジションはどうでしょう?

ガードの65がポストアップしたためにビッグマン2人が浮いてしまった状況ですが、ビッグマンもアウトサイドの動きを練習せねばと思わされるシーンです。


要はこの2人は、自分をマークしているDEFを引きつけて、ウィングの23のためにスペースをつくる必要があったわけです。そうすれば、ウィングからバックドアカットした23はリング近くでパスをもらえたでしょう。


中学以降であれば18はコーナーで3Pの用意、53はハイポストの65からのパスに合わせる動き(ハイロー・ポスト)が欲しかったところです。



Q2⇨23はバックドアに走り込んだ勢いのままに逆サイドへ出ましたが、マークしていた青14(イエローのバスパン)のDEFはその場に残ってしまい、ボールサイドを守るためにカバーポジションを取りました。 (コート図2:失敗例2)
 
もし23がボールサイドのコーナーに開いておれば、DEFの14はコーナーの23と走り込んで来る75の両方を守らねばならず、オフェンス有利の状況になったはずです。 (コート図3:理想形1)
 
逆サイドにはまさかのビッグマン2人がたむろしており、スペースはキツキツ状態ですね!? 上手く動けば誰かはフリーになれそうな状況です。詳しくは次のコメントで。



Q3⇨そもそも75が走り込んだ段階でガードポジションは誰もいないので、ビッグマンながら53がそこを埋めるために上がるべきでした。

あくまでも53にリバウンドさせたいのであれば、65がハイポストからポップアウトするのでしょう。

18のビッグマンはハイローポストが不発に終わった時点で、コーナーに開いてスペースを空けて欲しかった。そうすれば前回のの動画のように、23が時間差のパスをリング下で受けることもできたでしょう。 (コート図3:理想形1)



🏀🏀🏀今回のように23が逆サイドに流れた場合、ハイポスト65とビッグマンの1人53がガードポジションに上がり、ガード75とビッグマン18に大きなスペースを与えるのもOKです。

これはドリブルドライブモーション(DDM)の典型的なセットアップになります。フリースローラインから下のスペースを見ると、75・18・23 vs. 14・37の3対2のアウトナンバー状況になっていることも判ります。(コート図4:理想形2)


このように、失敗に終わった原因は複数あり、それぞれがプレー原則の大切さを感じさせる「濃い」ロジックになっています。また、逆サイドで詰まってしまった3人のうち1人でもプレー原則に沿った動きをしていれば、合わせは成功していたでしょう。

今回のケースは個の力すなわち突破力やシュート力ではなく、スペーシングの共通理解が問題になっていました。

やはりバスケットボールは5人でおこなうスポーツなんですよね。

以上