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小さいチームの戦い方2: 中心からズレる

真正面から・真っ直ぐに勝負すると能力差が出やすい

(動画はInstagram投稿をご参照ください: https://www.instagram.com/p/CUcZiSblq3o/?utm_source=ig_web_copy_link )

🏀ど真ん中の直球勝負、すなわち真っ直ぐなコース取りの攻めや近距離のジャンプショット、あるいは近接してプレッシャーをかけつつ追い回すディフェンスをメインにしていては、サイズや能力に秀でたチームに勝つのは至難の業...

サイズ差や能力差を活かしたいチームは、ミドルレーンやインサイドに戦力を集めてくるからです。かと言って練習量や体力に頼るのはジュニア期の選手たちにはまだ早い。まずはスキルを極めた上で、スカウティング等の事前準備を徹底しましょう。

動画は5年前の冬のミニバス区大会決勝。夏の大会で小差で負けた時の反省は、相手の運動能力の高さを過小評価したこと。ボールを奪いにいくディフェンスはファウルになり、速攻中心のオフェンスは攻め急ぎとターンオーバーにつながっていました。

この大会に向けて練習してきたのは、インラインディフェンスで淡々と守ることとグッドスピードでの落ち着いた攻めでした。それを試合の中で表現できているか、今回と次回の動画でぜひチェックしてみてください。


🏀🏀今回の3つの動画はいずれも、4番のセンター(といっても160cm位?)が相手のビッグマン(174cmだったかな??)に挑むシーンです。

動画1 シールから横にずらすムーブ: 
ボックスアウトで浮いたボールをガードが拾い→サイドライン沿いを慎重に運ぶ→コーナーに落としたボールがウィングに戻る→角度が変わるタイミングに合わせてセンターがシール→エース7番の完璧なパスを受けつつステップで2m位の横移動を果たし→体でボールを守りつつ相手のブロックをかわしてのレイアップ。各人の工夫がたくさんあって💮 

動画2 側線速攻からハイポストドライブ: スローインからサイドライン沿いをほぼノードリブルでボールをつなぐ→ボールとリングを結ぶ直線上の守りにくいポジションをセンターが確保→スピードのミスマッチをついてベースラインドライブ→ファウルをもらって綺麗なワンハンドのフリースローまで◎

動画3 側線速攻からトレールプレー: 動画2とほぼ同じノードリブルのサイドライン沿いのボール運びから→センターが逆サイドからインフロントカット→パスが完璧すぎてキャッチをミスる🏀あるある?→レイアップまで行けていたらファウルをもらえたでしょう!すぐに切り替えてディフェンスポジションを確保している点にも、集中を切らさない落ち着きを感じます。


🏀🏀🏀 ここでの収穫は、相手の方がサイズやスピードで優位にある場合、横や斜めにズレをつくることで相手が優位性を活かしにくくなるという点です。

動画1にはマイカンドリルの成果も現れていると感じました。フックショット、コンタクト/パワーレイアップ、レイバック、ユーロにギャロップにスピン。私はドリブルワークも含め、ズレをつくるための多種多様なスキルを練習する方針です。

横・斜めのズレの効果は動画2・3の側線速攻にも現れています。相手ディフェンスはセンターレーン辺りをまっすぐスピーディに戻ってくるのに対し、こちらはサイドに出る動きにスピードを使う。

その結果レシーバーは完全にフリーになっていて、安全にボールを運べています。更にほぼノードリブルの側線速攻になっていて、急いでないようでいて実は速いですし、状況判断の時間をしっかり確保できています。


なお、相手が側線パスに対応してきたらミドルドリブルやミドルにパスをつなぐ、そこから3線速攻に切り替えたり逆サイドに振る練習もしていました。結局また、ディフェンスがくれる答えに基づいた「状況判断&後出しジャンケン」に戻るわけです!


(「小さいチームの戦い方3:シンプルな攻防」に続く)


小さいチームの戦い方1: あきらめの悪さ

諦めない粘り強さの源は持久力やド根性ではありません!

(動画はInstagram投稿をご参照ください: https://www.instagram.com/p/CUZxiShFQtM/?utm_source=ig_web_copy_link )

🏀東京オリンピックで銀メダルを獲得した女子代表(参加チーム中2番目の低身長!)のホーバス監督は、速さと体力を活かしたオールコートの攻防、スキルの高さを活かしたドライブへの合わせと3Pショットをチームの武器にしました。

また、ホーバス監督の後を継いで現在アジアカップを戦っている恩塚監督は、「世界一のアジリティ」を追求すると仰っています。この場合のアジリティは普通言われる敏捷性ではなく、ネクストプレーの速さと適応力だそうです。

我々の今回の対戦相手は全員運動能力が高く、センターは170cmを軽く越える長身。子供たちと私が目指したのは、恩塚監督の「状況に応じて素早く、原則を生かして、協力して自分たちの強みを発揮すること」に近かったです。


🏀🏀何回かに分けてご紹介しますが、最初に強調したいのは「あきらめの悪さ」です。

あきらめない粘り強さを発揮するために必要なのは:
 ① 難しそうだけどトライするしかないと腹を据える決断力
 ② 体力をムダ使いせずに温存する合理的な動き・試合運び
 ③ 焦ってのミスや余計なファウルをしない冷静な状況判断
これら3つであって、持久力やド根性では決してありません。

今回の動画から3つの要素を感じていただけるでしょうか?


🏀🏀🏀ベンチで見ていて、これらのプレーがあったから勝てたんだなと感じたのを今でも思い出します。チームメイトを勇気づけ、自分も走ろう、ボールを追おうという気持ちにさせたプレーでした。

 動画1: 最後尾から猛ダッシュ&パスカットで速攻のピンチを阻止
 動画2: ターンオーバーしたボールを追いかけ回し奪い返す獰猛さ
 動画3: 相手を振り切って突進してしっかり踏み切ったレイアップ

動画1では、得点につながるパスをカットしただけでなく、アウトオブバウンズのボールを引っ掴んでコートに戻してすらいます。相手の前線へのパスを体を張って邪魔した右手前の6番のガード、センターながら必死に戻る4番の献身的な働きにもご注目ください。

動画2でも諦めの悪さが際立っています!すごいスキルを使っているわけじゃないけど、相手が根負けしちゃったような印象です。しぶとい選手って、自分が守っていても守られていても嫌なものですよね。

動画3はスピードレイアップ、女子はバンッと踏み切ってフィンガーロールするのが苦手な選手が多いですが、ここでは完璧に決めています。中学では3年連続で(陸上部の子たちをおさえて)校内マラソン首位、素晴らしい脚を持った選手でした。

それと動画2・3に映っているちっちゃい14番。当時2年生ながら攻守のトランジションにしっかり参加している!! その後4・5・6年生の3年間にわたりキャプテンを勤めた逸材です。


とにもかくにも「強い決意、闘争心、冷静さ」ミニバスだから女子だからと妥協する必要はないんだなと確信させられた、価値ある試合の一つでした。

以上

試合は自分たちで創るもの: 自立した選手こそが強い

自ら動くことの強さ

5年前のクリスマス、ミニバス区大会決勝でのシーン。(動画はInstagram投稿をご参照ください: https://www.instagram.com/p/CUW-tRJlYJ9/?utm_source=ig_web_copy_link )


🏀デリケートな子が多く、指導テーマを「泣かない&泣かせない、試合も練習も自分たちで創る」にしたほど…

自立しよう!と言い続けた手前、細かい指示はしたくなかった。試合中は「あわてないで」と「インライン(ディフェンス)」だけでした。

でも、これらの動画からはそういう心の弱さとか悲壮感、受け身でやらされてる感は感じられませんよね?


🏀🏀3つの動画の共通点は好プレーに対する子供たちの反応です。

(動画1) 見事なバックカットからのシュートはリングに嫌われたものの、リバウンド争いで相手がボールをライン外に出してしまう。

マイボールになった瞬間に、飛び跳ねたりクルクル回ったりスキップしたり!次の動画につながる重要なプレーでした。

(動画2) スクリーンを意識しすぎた相手を上手く押さえながら、リング近くのシュートはバスカンに。

全員にいっぺんに抱きつかれてフリースローに向かえないほど!もう1本もワンハンドできっちり決める。

(動画3) 相手は170台を擁し、こちらは全員160未満… 気力でリバウンドを粘り、最後はバスカンをもらう。

仲間たちに次々に抱きつかれながら、気持ちはすでにフリースローに向けて集中。綺麗なワンハンドショットの行方は?


🏀🏀🏀試合後に「みんなの雰囲気最高だったじゃん!」と褒めたところ、「ナイスプレーのたびに全員が笑顔で盛り上げるって決めてました!」とのこと。

実際この動画の時点では25対23で、勝利を意識するにはまだ遠い状況でした。

子供たちはただただプレーに集中して、やるべきこと、やれることを最後までやり続けたという印象です。

指導内容でもその日の作戦でもなく、子供たちが自立して、試合をどんなものにしたいかを考えて実行してくれたことが嬉しかった。


「自分たちの手で勝ち取った優勝なんだから最高だよ!」と言っていたと親御さんたちから後日聞きました。

この有能感こそが、競技スポーツを通じて子供たちに獲得して欲しいものなんです。

練習でも試合でも、子供達に有能感を持ってもらうことを第一の目的として臨みたいと私は思っています。


以上