ブログ

Blog

パッシングの面白さ: 視野の広さ⇦⇨遠投力

遠投力がつくと前線を見れるようになる!

コロナのせいで久々のレッスンの終盤、待望のゲームでのひとコマ。ハンドリングはさすがに落ちているかも...しか〜し!

(動画はInstagram投稿をご参照ください: https://www.instagram.com/p/CUUunC-laDl/?utm_source=ig_web_copy_link )


🏀「習い性となる」:ボールを持ったら反対側のリングとコーナーを見て、パスコースを感じたら投げる、投げる!

ディフェンスが一生懸命になるほど、フリースローラインより奥の最前線とサイドライン沿いにポッカリ穴ができるもの。そこに積極的にパスを放り込む。レシーバーはドンピシャのパスが来ることを信じて全力で走り抜く。

失敗しても、相手は一番遠いエンドスローインからの攻めになるだけなので全然OK。これは全中6回優勝の杉浦裕司先生が若水中で2連覇した時代に採用していた戦法です。

ディフェンスがその穴をふさごうとすれば、今度はミドルレーンの守りが手薄になり、ドリブラーが楽に運ぶことが出来るはず。結局はディフェンスが答えをくれるし、攻め気が新たな攻め筋(ドライブやパスのコース)をつくるということです。


🏀🏀 動画では2往復半、つまり連続5回の攻防がすべてロングパス主体のものになっています。

ジュニア期のゲームはドリブルショットの応酬になりがちですが、ボブキャッツの子供たちは良くも悪くも強気の早い・速いパスの応酬になるんですよね!? 良いパスを出せる子というのは、バスケIQが高いだけでなく視野が広い。そして視野が広いのは遠投力があるからなんだなといつも思わされる場面です。

みんなの良い点は、無駄なドリブルをして速攻のチャンスをつぶしたりが無いこととオフボールの4人がみんな切り替えを早くして走ってくれること。悪い点というか課題は、スピーディな攻めの中でのパスの精度ならびにパス主体の攻めを相手に読まれた際にドリブルに切り替える臨機応変さです。

小中学校段階の上位チームは前掛かりのディフェンスからの速攻を武器にしていることが多いですが、パッシング主体の攻めはそういうチームのプレスを攻略するのに必須ですし、ハリーバックの重要性や効果も理解しやすいです。


🏀🏀🏀 最後に、パスに注目しながら 5回のオフェンスを評価してみます。

① ガードがドリブルを4回もついており、お互いに慎重に行き過ぎたかな? 先頭を切ってリムランするセンター53がフルスピードで走って構わないケースで、そうすればガード(パサー)はワンドリブルでロングパスを投げられたはず。

② 最前線のオフェンスに追いつこうと懸命なあまり、DEFはボールを見ずに戻っていてパスが通ってしまった。レシーバーがしっかり反転してミートしている点をほめてあげたい。ファウルされやすい局面ゆえ、バスカンを意識したフィニッシュを!

③ エンドラインのギリギリまで飛ばしたパスだからこそ、DEFの頭を越えることができた。パサーがもう1回ドリブルをついていたら、自分のDEFの手に引っ掛かるかあるいはレシーバーのDEFにカットされた。これも隠れた好判断。

最前線でパスを受けた選手は、実は有利な位置にいることに注目したい。エンドライン沿いのレイバックショットは効果的だし、ミドルドライブなら多様なフィニッシュが可能。ただしこの例では、トレールで入って来た53のセンターにパスしたいところ。

④ ハーフライン辺りでスローインパスを受けた選手、着地の勢いを活かしながらのクロスコートパスはクイックで最高!レシーバーはドリブル無しでレイアップに持ち込むようにすれば、DEFにブロックされる心配がなくなるはず。

⑤ ガードが逆サイドのコーナーまで見通せたのは素晴らしい💮 DEFが後ろを向いていたのに気づいて、ワンドリブルで遠投に出たのもGOOD! 前線のセンターがパスに気付くのが遅かった点は残念だが、経験を積む中で分かるようになるはず。


以上

スペーシングから合わせ(続): 失敗例と理想形をコート図から理解する

やはりオフェンスはスペーシングがすべて

前回投稿した「バックドアへの合わせ」の続編です。

惜しくも攻め切れなかったシーンですが、スペーシングの観点から見直してみると、失敗の原因は?どうすれば良かったのか?がよく解ります。

動画と解説用のコート図4つはInstagramに投稿したものをご覧ください。:https://www.instagram.com/p/CUPsQiXlJzv/?utm_source=ig_web_copy_link


🏀プレーの展開は以下の通り。2桁の数字は背番号です。Q1〜Q3の3つの質問に答えてみてください!
①トップの75からハイポストの65にボールが入って、ウィングの23がキャッチボイスも高らかに綺麗にバックドア。

ハイポストへの動きはウィングからのシャローカット、DEFにとって非常に守りにくい動きで◎

② (コート図1:失敗例1) ギリギリでパスが入るかな?って感じだが、ハイポストはリング下の2人のDEFが気になってパスできなかった様子。

 Q1. なぜそこにDEFがいたのか?チームとしてどうすれば良かったのか?

③ウィングは逆サイドに切れていったので、今度はガードの75が同じスペースに走り込む。後者も非常に良いプレー。

 Q2. 実はウィングの23は逆サイドではなくボールサイドに開く方が効果的だった。それはなぜか?

④ (コート図2:失敗例2) ハイポストの65はガードの75にパスを出したが、青14(イエローのバスパン)のDEFに上手くカバーされてしまった。

 Q3. 制限区域内のスペースがなくなっている。チームとしてどうすれば良かったのか?


🏀🏀以下、3つのQuestionの答え合わせです!

Q1⇨逆サイドの2人の選手(18と53)のポジションはどうでしょう?

ガードの65がポストアップしたためにビッグマン2人が浮いてしまった状況ですが、ビッグマンもアウトサイドの動きを練習せねばと思わされるシーンです。


要はこの2人は、自分をマークしているDEFを引きつけて、ウィングの23のためにスペースをつくる必要があったわけです。そうすれば、ウィングからバックドアカットした23はリング近くでパスをもらえたでしょう。


中学以降であれば18はコーナーで3Pの用意、53はハイポストの65からのパスに合わせる動き(ハイロー・ポスト)が欲しかったところです。



Q2⇨23はバックドアに走り込んだ勢いのままに逆サイドへ出ましたが、マークしていた青14(イエローのバスパン)のDEFはその場に残ってしまい、ボールサイドを守るためにカバーポジションを取りました。 (コート図2:失敗例2)
 
もし23がボールサイドのコーナーに開いておれば、DEFの14はコーナーの23と走り込んで来る75の両方を守らねばならず、オフェンス有利の状況になったはずです。 (コート図3:理想形1)
 
逆サイドにはまさかのビッグマン2人がたむろしており、スペースはキツキツ状態ですね!? 上手く動けば誰かはフリーになれそうな状況です。詳しくは次のコメントで。



Q3⇨そもそも75が走り込んだ段階でガードポジションは誰もいないので、ビッグマンながら53がそこを埋めるために上がるべきでした。

あくまでも53にリバウンドさせたいのであれば、65がハイポストからポップアウトするのでしょう。

18のビッグマンはハイローポストが不発に終わった時点で、コーナーに開いてスペースを空けて欲しかった。そうすれば前回のの動画のように、23が時間差のパスをリング下で受けることもできたでしょう。 (コート図3:理想形1)



🏀🏀🏀今回のように23が逆サイドに流れた場合、ハイポスト65とビッグマンの1人53がガードポジションに上がり、ガード75とビッグマン18に大きなスペースを与えるのもOKです。

これはドリブルドライブモーション(DDM)の典型的なセットアップになります。フリースローラインから下のスペースを見ると、75・18・23 vs. 14・37の3対2のアウトナンバー状況になっていることも判ります。(コート図4:理想形2)


このように、失敗に終わった原因は複数あり、それぞれがプレー原則の大切さを感じさせる「濃い」ロジックになっています。また、逆サイドで詰まってしまった3人のうち1人でもプレー原則に沿った動きをしていれば、合わせは成功していたでしょう。

今回のケースは個の力すなわち突破力やシュート力ではなく、スペーシングの共通理解が問題になっていました。

やはりバスケットボールは5人でおこなうスポーツなんですよね。

以上

スペーシングから合わせへ: コート図からの理解

オフェンスはスペーシングがすべて

先日投稿した「合わせからのバックドア」の動画を、スペーシングの観点からコート図を利用して解説してみました。

コート図4つと動画はInstagramに投稿したものをご覧ください。: https://www.instagram.com/p/CT19EQPFkk0/?utm_source=ig_web_copy_link


「オフェンスはスペーシングが全て」とよく言われます。

先日動画をご紹介した「合わせからのバックドア」も、前もってデザインされたパターンオフェンスではなく、スペーシングに関する5人の共通理解からその場で生まれたものでした。


以下、プレーの展開に沿ってスペーシングを読み取ってみます。コート図の選手5人には背番号とポジションを付しました。

⓪ ゾーンプレス全盛時代からずっと、スローインからのボール運びの際には1-3-1隊形を活用してきました。相手がプレッシャーM2Mの場合も非常に有効な上に、側線速攻や3線速攻への移行も簡単かつスムースです。

この動画では1-3-1隊形をセットし終わる前にガードがサイドシールでパスをもらえたので、1-2-1-1隊形からのボール運びになっています。


①スローインのレシーバーがミドルレーンをドリブルで進み、スロワーは左サイドに、もう1人のガードは右サイドに大きく広がって、ドリブラーのスペースを確保しつつ並走。他の2人(一応?センターとフォワード)も両サイドに広がり、コーナーに降りて行く。


②(コート図A;エントリー) ドリブルハンドオフを用いながらボールは⑦のドリブルでミドルレーンを進み続け、フロントコートに入った時には1-2-2隊形が出来上がっています。ここでの有効スペースは明らかに制限区域を中心とする中央エリアです。


③ (コート図B;④のハイポストフラッシュ) この中央エリアを利用するために、センター④は左コーナーに行かずにアングル(直角)カットでハイポストにスライド。その結果、今度は左サイドに新たな有効スペースが生じます。


④(コート図C;⑦のパス&ラン+⑤のバックドア) この左サイドのスペースを、まずは左レーンのガード⑤がバックカットでリング下に向かいます。一方で、ボールマン⑦はハイポスト④経由でパス&ラン、こちらも左サイドのウィング辺りのスペースを使おうとします。


⑤ (コート図C;④→⑦のパス) ハイポスト④はリング下のガード⑤ではなくウィングにカットしたパサー⑦にボールを戻しつつ、壁になってディフェンスがボールマンを追えないようにします。この時点でフリースローライン辺りから上のスペースは、ヘルプに寄って来たディフェンスで混雑し始めます。


⑥ (コート図D;⑦→⑤のパス) 再びボールを得たガード⑦は、自分の周りのスペースが狭まる一方でリング下の⑤のスペースが空くのを察知して、タップパスでボールを放り込みます。右コーナーのディフェンスがカバーに回るが、⑤はそれを体で遮りながらのバックショットが成功!


⑦もしリング下で打てなかったとしても、今度は右コーナーから合わせているフォワード⑧にチャンスが生じます。ちなみに、右レーンのガード⑥はボールに合わせながら移動し、最後はセイフティポジションに入っています。

ミニバスではなく3Pショットが武器になる中学以降であれば、⑧はコーナーに開いて3Pの準備をして、④がスクリーンからのダイブを狙うことになるのでしょう。


このように5人の動きを追っていくと、選手たちはそれぞれが得点に結びつくアクションを考えながら、非常にロジカルな判断をしていることが解ります。

そしてそれらの判断の基準になっているのが「スペーシング=スペースがどういう順番で空いていくか?」の予測であるわけです。

以上