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小さいチームの戦い方3: シンプルな攻防

DEFはインラインとインサイドを守る、OFは空いた味方かスペースにボールを動かす

(動画はInstagram投稿をご参照ください: https://bit.ly/3B6LgWi 

🏀小さいチームが敏捷性を活かして、近接ディフェンスでボールを奪うのは理想的ですし、日本中そういうチームで溢れています。

しかし、必死でディフェンスしても上手いガードからボールを奪うのは困難だし、センターにつながれると容易にプレッシャーリリースされてしまいます。

オフェンスにおいても、何が何でも「ディフェンスから速攻」のワンパターンでは疲れるし、相手もすぐに慣れてしまいます。

ではどうすれば良いのか?今回の動画はその答えの一つになると思います。


🏀🏀最初の動画は得点後に3/4コート・マンツーマン・ディフェンスを敷いているもの。

オールコートでボールを追い回してスティールを狙うのではなく、素早く「インライン、ボールライン、ディナイポジション」を取ります。

私はよく「ディフェンスがオフェンスに対して答えをくれる」と言いますが、このディフェンス戦法は極力相手に答えを与えずに、一番リスクが高いプレーだけを防ぐものです。

ガードのドライブとガード&センターのコンビプレーを防ぐ。スクリーンにはスライドかアンダー。この時の約束事はそれだけで、動画でもベンチからの声がけが聞こえますね。

要は制限区域に侵入する動きを防ぐというシンプルなディフェンスであり、そのためのインラインポジション/インラインディフェンスということです。


🏀🏀🏀後の動画は上記のインラインディフェンスが成功してのリバウンドからの速攻です。

制限区域を優先して守り、外からのジャンプショットを打たせる。ボックスアウトしたら、いつまでもくっついていないでボールに飛びつく。

これらの約束事に沿ったディフェンスの結果、確実にリバウンドを確保しています。相手の戻りが早いので側線速攻を断念(好判断です!)、エースガードにボールを預けています。

それに続くオフェンスもシンプルで無理がなく、空いている味方やスペースにボールを動かしているだけ。結果的にインサイドでのジャンプショットをしっかり打てています。

動画はシュートインまでは収めていませんが、わたしは正しいセレクションで打ってくれた時点で「いいシュートだよ!」と褒める主義なので全然OKです💮

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この投稿に先立つストーリーズのアンケート結果は、このDEFは「ヌルすぎて💢」 vs. 「余裕があって良い」の二択でほぼ同数でした。

緩いディフェンスしか出来ないと思われては子供たちに申し訳ないので、次回は続編として「プレッシャーディフェンスもできるよ!」という動画をアップしてみます。

以上

小さいチームの戦い方2: 中心からズレる

真正面から・真っ直ぐに勝負すると能力差が出やすい

(動画はInstagram投稿をご参照ください: https://www.instagram.com/p/CUcZiSblq3o/?utm_source=ig_web_copy_link )

🏀ど真ん中の直球勝負、すなわち真っ直ぐなコース取りの攻めや近距離のジャンプショット、あるいは近接してプレッシャーをかけつつ追い回すディフェンスをメインにしていては、サイズや能力に秀でたチームに勝つのは至難の業...

サイズ差や能力差を活かしたいチームは、ミドルレーンやインサイドに戦力を集めてくるからです。かと言って練習量や体力に頼るのはジュニア期の選手たちにはまだ早い。まずはスキルを極めた上で、スカウティング等の事前準備を徹底しましょう。

動画は5年前の冬のミニバス区大会決勝。夏の大会で小差で負けた時の反省は、相手の運動能力の高さを過小評価したこと。ボールを奪いにいくディフェンスはファウルになり、速攻中心のオフェンスは攻め急ぎとターンオーバーにつながっていました。

この大会に向けて練習してきたのは、インラインディフェンスで淡々と守ることとグッドスピードでの落ち着いた攻めでした。それを試合の中で表現できているか、今回と次回の動画でぜひチェックしてみてください。


🏀🏀今回の3つの動画はいずれも、4番のセンター(といっても160cm位?)が相手のビッグマン(174cmだったかな??)に挑むシーンです。

動画1 シールから横にずらすムーブ: 
ボックスアウトで浮いたボールをガードが拾い→サイドライン沿いを慎重に運ぶ→コーナーに落としたボールがウィングに戻る→角度が変わるタイミングに合わせてセンターがシール→エース7番の完璧なパスを受けつつステップで2m位の横移動を果たし→体でボールを守りつつ相手のブロックをかわしてのレイアップ。各人の工夫がたくさんあって💮 

動画2 側線速攻からハイポストドライブ: スローインからサイドライン沿いをほぼノードリブルでボールをつなぐ→ボールとリングを結ぶ直線上の守りにくいポジションをセンターが確保→スピードのミスマッチをついてベースラインドライブ→ファウルをもらって綺麗なワンハンドのフリースローまで◎

動画3 側線速攻からトレールプレー: 動画2とほぼ同じノードリブルのサイドライン沿いのボール運びから→センターが逆サイドからインフロントカット→パスが完璧すぎてキャッチをミスる🏀あるある?→レイアップまで行けていたらファウルをもらえたでしょう!すぐに切り替えてディフェンスポジションを確保している点にも、集中を切らさない落ち着きを感じます。


🏀🏀🏀 ここでの収穫は、相手の方がサイズやスピードで優位にある場合、横や斜めにズレをつくることで相手が優位性を活かしにくくなるという点です。

動画1にはマイカンドリルの成果も現れていると感じました。フックショット、コンタクト/パワーレイアップ、レイバック、ユーロにギャロップにスピン。私はドリブルワークも含め、ズレをつくるための多種多様なスキルを練習する方針です。

横・斜めのズレの効果は動画2・3の側線速攻にも現れています。相手ディフェンスはセンターレーン辺りをまっすぐスピーディに戻ってくるのに対し、こちらはサイドに出る動きにスピードを使う。

その結果レシーバーは完全にフリーになっていて、安全にボールを運べています。更にほぼノードリブルの側線速攻になっていて、急いでないようでいて実は速いですし、状況判断の時間をしっかり確保できています。


なお、相手が側線パスに対応してきたらミドルドリブルやミドルにパスをつなぐ、そこから3線速攻に切り替えたり逆サイドに振る練習もしていました。結局また、ディフェンスがくれる答えに基づいた「状況判断&後出しジャンケン」に戻るわけです!


(「小さいチームの戦い方3:シンプルな攻防」に続く)


小さいチームの戦い方1: あきらめの悪さ

諦めない粘り強さの源は持久力やド根性ではありません!

(動画はInstagram投稿をご参照ください: https://www.instagram.com/p/CUZxiShFQtM/?utm_source=ig_web_copy_link )

🏀東京オリンピックで銀メダルを獲得した女子代表(参加チーム中2番目の低身長!)のホーバス監督は、速さと体力を活かしたオールコートの攻防、スキルの高さを活かしたドライブへの合わせと3Pショットをチームの武器にしました。

また、ホーバス監督の後を継いで現在アジアカップを戦っている恩塚監督は、「世界一のアジリティ」を追求すると仰っています。この場合のアジリティは普通言われる敏捷性ではなく、ネクストプレーの速さと適応力だそうです。

我々の今回の対戦相手は全員運動能力が高く、センターは170cmを軽く越える長身。子供たちと私が目指したのは、恩塚監督の「状況に応じて素早く、原則を生かして、協力して自分たちの強みを発揮すること」に近かったです。


🏀🏀何回かに分けてご紹介しますが、最初に強調したいのは「あきらめの悪さ」です。

あきらめない粘り強さを発揮するために必要なのは:
 ① 難しそうだけどトライするしかないと腹を据える決断力
 ② 体力をムダ使いせずに温存する合理的な動き・試合運び
 ③ 焦ってのミスや余計なファウルをしない冷静な状況判断
これら3つであって、持久力やド根性では決してありません。

今回の動画から3つの要素を感じていただけるでしょうか?


🏀🏀🏀ベンチで見ていて、これらのプレーがあったから勝てたんだなと感じたのを今でも思い出します。チームメイトを勇気づけ、自分も走ろう、ボールを追おうという気持ちにさせたプレーでした。

 動画1: 最後尾から猛ダッシュ&パスカットで速攻のピンチを阻止
 動画2: ターンオーバーしたボールを追いかけ回し奪い返す獰猛さ
 動画3: 相手を振り切って突進してしっかり踏み切ったレイアップ

動画1では、得点につながるパスをカットしただけでなく、アウトオブバウンズのボールを引っ掴んでコートに戻してすらいます。相手の前線へのパスを体を張って邪魔した右手前の6番のガード、センターながら必死に戻る4番の献身的な働きにもご注目ください。

動画2でも諦めの悪さが際立っています!すごいスキルを使っているわけじゃないけど、相手が根負けしちゃったような印象です。しぶとい選手って、自分が守っていても守られていても嫌なものですよね。

動画3はスピードレイアップ、女子はバンッと踏み切ってフィンガーロールするのが苦手な選手が多いですが、ここでは完璧に決めています。中学では3年連続で(陸上部の子たちをおさえて)校内マラソン首位、素晴らしい脚を持った選手でした。

それと動画2・3に映っているちっちゃい14番。当時2年生ながら攻守のトランジションにしっかり参加している!! その後4・5・6年生の3年間にわたりキャプテンを勤めた逸材です。


とにもかくにも「強い決意、闘争心、冷静さ」ミニバスだから女子だからと妥協する必要はないんだなと確信させられた、価値ある試合の一つでした。

以上